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ジョミ→ブルみたいな。きっとジョミーはブルーが寝てる間にあれやこれやとしていたに違いない妄想。
彼を飾り付けるという、あまりの難題に途方にくれる。耳元に小ぶりの薔薇の花を添えては見るが、しっくりこない。石はどうだと散りばめられた緑柱石の首飾りと、揃いの耳飾りをかざしてみては、駄目だと床に追い払った。シーツの上に横たえられた、彼は外の世界など、どうでも良いのか。身じろぎ一つせず、人形のようにそこに在るだけだ。頬に手をやり、するりとそのまま耳の形をなぞり、髪を梳いてはその心地良さに、うとりと笑む。そっと彼の名を呼ぶだけで、全てが満たされる。気を取り直し、金糸を始め、色とりどりの刺繍が見事な織物をあてては、似合わないと独り言をはき捨てた。
こんなにも、彼が完璧な存在であったという事実に、今更ながら驚いた。しかし、同時に完璧である存在は、それ以上の装飾品は不要とする、矛盾ともいえる欠点を浮き彫りにした。
目前の彼はまさに造形美術の最高傑作だ。瞼の下に隠された瞳が実に惜しい。昏々と眠り続ける彼の、眼窩にはめ込まれた宝玉を思い出し、ほうと溜息が洩れた。
自然の中から同じように生まれたはずなのに、不自然な程の美はもはや狂気の具現ともいえた。彼に魅入られ、引きずり込まれた人間の数は一体、どれぐらいになるだろうか。その度に、多くの醜い人の抜け殻を片付けてきた。この腐った肉が彼に魅入られた等、おこがましいと感じる以前に、不幸と思った。尤も、彼がそんな者達を見て、哀愁に濡れる様は堪らなく美しかったので、彼らは僕に幸福をくれる良い人達であるとも思った。
完全なる彼を、彩る事が出来るのは何もない空間だけだ。
僕は、今日も彼の体を真白いシーツでぐるりと包む。
課せられた使命が、完遂される日はまだ遠い。
幕
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