地球へ・・・二次創作パラレル小説部屋。
青爺と鬼軍曹の二人がうふふあははな幸せを感じて欲しいだけです。
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息子ジョミーと父親ブルーのハートウォーミングふるさとライフストーリィ(笑)。
子年の今年もひたすらパラレル設定ジョミブル話を捏造し続けます←今年度の抱負
「僕のお父さん」
父は僕にとって唯一の存在だった。
僕よりもくすんだ金色の髪は、ただ派手派手しいだけの僕のような金髪ではなく、どこか品があって、優しい印象を子供ながらに持っていた。角度によっては深い翠にも見える空色の瞳は、凛としていて、見ているだけで清清しい気持ちになった。鏡を見るたびに、どうして僕は父とは髪の色も目の色もちょっとずつではあるけれど、違うのだろうと悲しくなったのは、遠い昔の思い出だけれど、今でも時々ふと、言いようのない失望に囚われる。それ程に、僕にとっては父は完全なる存在であったのだ。
父は母が僕を産み、すぐに亡くなってからは男やもめで僕を育て上げてくれた。早く大人になりたいと逸る心を、いつも父は笑顔で焦る事はないのだと導いてくれる。じっくり、大きくなれば良いんだよ。と微笑む父の眼差しは柔らかく、全てを赦し包容してくれるような錯覚に陥ってしまう。事実、父はきっと僕を手放しで抱きとめてくれるだろう。しかしそんな時、僕はいつまで奇麗なこの人が、僕一人のものであってくれるのだろうかと、華奢なその腕の中で不安に揺れる思念を抱く。
父は知り合いや友人から、先生、と呼ばれている。思うに、父の生業である作家業からそのような名称で呼ばれるのだとは思うのだけれど、あまり似合わないなと僕は思う。父にはもっと、違う名前が合うと思う。父はああ見えてとても凄絶な人だ。執筆中など、目線一つ向けるのすら躊躇われる雰囲気をぴしりと纏う。まるで戦闘服を身につけた戦士のようなのだ。その薄青の目は、一心に紙とペン先に注がれる。一度、父の戦場を仲間達とこっそり、覗き見した事がある。一人ではあまりにも怖ろしくて近付けない、と言ったら最初は友人全員が、何せ善良なるキースでさえ、まさかと一笑にふした。だが、友人達を引き連れ、父の仕事場である離れについた途端、彼らは押し黙り、冷や汗を額や鼻の上に滲ませていた。その場にいる全員が、父の気に中てられたのだ。
そう、父は戦士だ。
その瞬間に全員一致で、僕らは父をそう呼んだ。もっとも、戦士、ではあまりに厳めしいし何より幼い友人達には言い難い。そこで、そるじゃー、と呟いたシロエの言葉に、僕らは強いながらも何となく愛嬌のあるその響きが気に入って、以来、仲間内では、父はそるじゃー、と銘々された。稀に、せんせい、なんて茶化して呼び合う事もあったりするが、当時はまだ幼児とも言えたシロエや、一番下っ端のトォニィに至っては赤ん坊だ。皆、父の事をそるじゃー、そるじゃーと、例え本人がちょっと恥ずかしそうに、困り顔でいようとも敬愛の念を込めてそう呼び、親しんだ。
そんな父ではあるけれど、普段はとても穏やかで、風のように掴み所がない。稀に僕ら子供以上に子供っぽい事をするので、回りの大人たちは気が気ではないようだ。ある意味、僕らよりも性質が悪い、と苦虫を噛み潰したような顔で言ったのは、こんな片田舎に引っ込んだ父を見放す事無く、長年、父の担当編集者を務めてくれているウィリアム・ハーレイ氏だ。一度、彼は僕の肩を掴んだと思いきや、目を覗き込んで腹の底から搾り出したような声で、君は立派な大人になるんだ、ジョミー。と言われたこと(キースにいわせれば、それは「懇願」されたというらしい)があるのは、父には秘密だ。言えば最後、しばらくウィリアム・ハーレイは長閑なこの町で、僕と一緒に散歩をするという彼の趣味を、自重する事になるだろうから。
僕の世界は父を中心にいつだって構成されていた。
20070830
20080113改稿
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